総義歯%e7%b7%8f%e7%be%a9%e6%ad%af
全部床義歯(総義歯/総入れ歯)
全部床義歯は、歯ぐきの粘膜と顎の骨(顎堤)を利用して支える取り外し式の入れ歯です。機能の鍵は支持(噛む力を受ける面積)・安定(横揺れの少なさ)・保持(吸着)。粘膜の厚み・骨の量と形・唾液の性状・辺縁封鎖(筋圧形成)が良いほど密着し、安定した装着感が得られます。
顎堤が痩せて薄い場合は、入れ歯が落ちやすい・動きやすい傾向があります。特に下顎の総義歯は舌や口唇・頬の動きに影響されやすく、上顎に比べ安定を得るのが難しいのが現実です。そこで製作法・材料・設計の工夫、場合によってはインプラントで保持力を補う選択肢が重要になります。
保険の総義歯と自費(⾦属床)総義歯の違い
保険:レジン床総義歯
- 標準工程(個人トレー/咬合採得/試適/完成)で多くの症例に適応、費用負担を抑えやすい
- 床がやや厚く重めになりやすい/熱が伝わりにくいため食事の温冷感が乏しい
- 顎堤が薄い・下顎の保持が難しい症例では保持力に限界が出ることがある
自費:金属床総義歯(Co-Cr/Ti)
- 薄くて高剛性の床でたわみ・違和感を抑えやすい/熱伝導◎で食事の温冷感が自然
- 精密工程(精密印象・筋圧形成・咬合記録・段階試適 等)を十分に実施しやすく、辺縁封鎖と吸着を追求できる
- ※下顎は解剖学的に難症例が多く、金属床でも限界があります。安定の獲得が難しい場合はインプラントオーバーデンチャーの検討が合理的です。
症例イメージ
保険:レジン床総義歯
自費:金属床総義歯
吸着は「咬合(噛み合わせ)」が整ってこそ発揮されます
義歯は均等な咬合接触で上下から安定して押さえられて初めて、辺縁封鎖と陰圧が機能します。対合に残存歯がある場合、詰め物・被せ物での形態回復/咬合調整/保存不可能歯の抜歯など、咬合再構成を先に行うことで吸着・安定が大きく向上します。
料金・お支払い(自費 総義歯)
| 内容 | 目安料金(税込) | ポイント |
|---|---|---|
| 金属床総義歯(上下いずれか) | 300,000円 | 薄くて丈夫/熱が伝わる/精密工程で吸着を追求 |
デンタルローンのご利用で分割払いが可能です。金属床は月々 8,800円〜(300,000円を36回(3年)で分割した一例)。
より高い安定性:インプラントオーバーデンチャー(ロケーター)
歯が全て失われた顎に少数のインプラントを埋入し、ロケーターアタッチメントで入れ歯をスナップ固定する方法です。取り外して清掃でき、総義歯の弱点である「外れやすさ」「噛みにくさ」を大きく改善します。当院はロケーター方式のみ対応です(バー連結は行いません)。

| 内容 | 目安料金(税込) | 月々の目安(デンタルローン 10年) |
|---|---|---|
| 上顎 IOD(インプラント+専用義歯) | 2,000,000円〜 | 約20,100円/月〜 |
| 下顎 IOD(インプラント+専用義歯) | 1,200,000円〜 | 約12,000円/月〜 |
特に下顎で効果が大きい治療です。全身状態・骨量・咬合関係を評価の上ご提案します。
骨隆起(トーラス)がある場合の配慮
上顎正中や下顎舌側の骨隆起は、床の延長や吸着の妨げ、装着時の痛みにつながることがあります。義歯作成前に外科的に小さく整えることで、適合と快適性を高められる場合があります(必要性は個別診断)。


製作の流れと期間・副作用
- 診査診断:粘膜と顎堤の評価/既存義歯の問題点/咬合診査(対合歯の治療計画を含む)
- 精密印象・筋圧形成:辺縁封鎖を得るための重要工程
- 咬合採得・試適:前歯の位置・発音・咬合高径を確認
- 完成・装着:咬合調整・圧痛部のチェック
- 調整・メンテナンス:使用初期は数回の微調整を前提に
期間の目安:保険の総義歯は約1〜2か月、自費(⾦属床)は工程が増えるため約1〜3か月(回数・個人差あり)。
副作用・注意:装着初期はこすれ・発音の違和感・食事の慣れが必要です。顎堤は時間とともに痩せるため、定期検診(3〜6か月)で裏装(リライン)や咬合調整を行うと快適さが保てます。安定剤は一時的補助で、合わない時は調整が第一です。
よくある質問
Q. 下顎の入れ歯が外れやすいのはなぜ?
舌や頬の動きの影響、支持面積が小さいことが主因です。精密な辺縁形成・金属床での薄型化に加え、ロケーター式インプラントオーバーデンチャーでの保持向上が有効です。
Q. すぐに慣れますか?
個人差がありますが、1〜2週間で日常会話、数週間で食事に慣れてくる方が多いです。痛みは我慢せず早めに調整へ。
